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東京地方裁判所八王子支部 昭和45年(むハ)39号 決定 1970年6月30日

主文

東京地方検察庁八王子支部検察官中野国幸が昭島警察署在監中の被疑者らについては昭島警察署長に、青梅警察署在監中の被疑者らについては青梅警察署長に対してそれぞれなした「被疑者らとその弁護人または弁護人になろうとする者とが接見するためには、予め検察官中野国幸が発布する接見指定書を持参しなければならない。」との処分はこれを取消す。

検察官は、昭島警察署在監中の被疑者らと申立人に対し、昭和四五年六月三〇日午後七時三〇分から同日午後一〇時三〇分までの間、青梅警察署在監中の被疑者らと申立人に対し同年七月一日午前九時から同日午前一一時までの間各別に被疑者一名につき継続して一五分間それぞれ接見させなければならない。

理由

本件準抗告の申立ての趣旨および理由は申立人提出の各準抗告申立書記載のとおりであるから、これをここに引用する。

よって按ずるに、申立人の疎明書類ならびに当裁判所書記官金子忍作成の電話聴取書によれば、東京地方検察庁八王子支部検察官中野国幸は、被疑者らに対する当裁判所の勾留決定後、被疑者らとその弁護人または弁護人になろうとする者との接見について、昭島警察署在監中の被疑者らについては昭島警察署長に、青梅警察署在監中の被疑者らについては青梅警察署長に対してそれぞれ「被疑者らとその弁護人または弁護人になろうとする者とが接見するためには、予め検察官中野国幸が発布する接見指定書を持参しなければならない。」との指定を行い、現にこれを維持しているとの事実が疎明されるが、検察官が右のような制約を課するにおいては、検察官が接見指定書を発布しない限り被疑者らとその弁護人または弁護人となろうとする者との接見交通を一般的に禁止する結果になり、被疑者らの防禦の準備をする権利を不当に制限するおそれがあるので、これを取消すをもって相当とし、なお、検察官の右指定にかわる指定をする必要があるものと認め、刑事訴訟法四三二条、四二六条二項により、主文のとおり決定する。

(裁判官 小野淳彦)

<以下省略>

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